R.シュトラウスの代表作の一つ、ニーチェの原作による交響詩「ツァラトストラはかく語りき」をもじった元シカゴ交響楽団の20世紀を代表するチューバ奏者で教育者であったアーノルド・ジェイコブスの著書です。元々、パイパースという金管楽器の月刊誌の連載ものでしたが、1冊に纏めたものです。
前回のラッパのレッスンの際、師匠から勧められ、読みました。以下の考え方が根底として、一貫して流れています。
1.演奏する際は音楽的表現、音色にすべてを注入する。
2.呼吸、体の使い方は楽器を持たない時間に覚える。
3.体が自然に動くことが大切であり、それで初めてすばらしい演奏につながる。
これはどの世界でも同じでしょう。スポーツでも、よくプロ野球選手がヒーローインタビューで、「無心で思い切って打ちました」と話すことがありますが、あれは体が自然に動き、いいバッティングにつながるということを物語っていると思います。素振りや基礎練習で基本に裏づけされた自分に相応しいバッティングフォームを身につけ、自然に実践に生かすようにするということであり、コツコツと目的意識を持って練習することが必要でしょう。
又、何度か書かせていただいた戦前の69連勝の大横綱双葉山の「稽古は本場所の如く、本場所は稽古の如く」は言葉は違えど、同じ意味合いを含んでいると思います。
自分自身のラッパについても、変にいい音色にする為の呼吸や体の使い方を意識すると、上手くいきません。呼吸や体の使い方をラッパの練習時間以外に身につけ、ラッパの練習時間は音楽そのものに専念し、無心になると、いい感じで吹けます。
3月11日の万里の長城国際音楽コンクール本選に向け、実にいい勉強になりました。邪念を捨て、音楽に真摯に向き合い、自分自身を表現したいと思います。曲はラベルと同年代のフランスの作曲家ロパルツの「アンダンテとアレグロ」、深い悲しみ、溌剌さの発信を心掛けます。
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