もうすぐ今年も暮れようとしています。月日が経つのは早いものです。でも、それは充実しているからかもしれません。
今年は何といっても、東日本大震災を抜きには語れないでしょう。
私自身も震災で資金的にも活動の面でも影響を受けました。母校の慶應ワグネルのご協力による指揮者デビューはリハのみとなり、助成金、協賛金獲得を初め種々の資金支援はすべて振り出しに戻りました。
しかし、被災者の方々は筆舌では語り尽くせない悲しい思いをされていることをいろいろな報道で知り、私に何ができるか考えました。その結果、避難所で慰問演奏をさせていただき、音楽により、力、元気、勇気、癒しをお与えすることであるという結論に達しました。
手前味噌ですが、私は行動力がある方だと思います。片っ端から、全国の都道府県の自治体、避難所に電話して、福島、新潟、栃木、茨城、群馬、神奈川の避難所で約2ヶ月で合計23回開催させていただきました。失礼ながら、お役所的対応に憤りを感じることも多々ありましたが、だからこそ、被災者の方々の力になりたいと思うべきであると考え、続けてきました。そして、被災者の方々と力を分かち合え、感動を共有でき、私自身もすばらしい機会をいただきました。
その後、生計の為の就職活動に悪戦苦闘しました。紆余曲折を経験したのち、日立で磨いてきた資材・購買のスキルを活かして、先日、千代田計装調達部で業務を開始しました。元々、仕事が好きであり、これはこれでやりがいを感じています。そして、仕事にアグレシブに取り組むことが気持ちの面で、音楽にもいい影響があるのを感じています。早朝と退勤後の練習、勉強、音楽活動も生活のリズムとなっています。又、おかげさまで、外部の協力者が増え、平日の日中を使えないハンディもさほど感じていません。近い将来、音楽に専念したいと思っていますが、今はできることを真摯に行なっていき、引続き、MDCの「ヒトモノカネ」を好循環させるべく、一層、努力していきます。
ところで、今年は「絆」という言葉が多く聞かれました。私はこれを「感謝」という言葉で表現したいと思います。今年1年、過去にはない感動的な体験、悲しい局面、辛い時間、楽しい時間を持ったと思います。そして、今、夢に向けて、土俵に上れたのは、周囲の方々の励まし、ご指導、ご協力等が大きな要因になっているのを強く感じています。
トランペット、音楽理論の先生のみならずお世話になっている東邦音大の先生方、震災支援活動で力を分かち合った被災者の方々、この活動を通じて親しくさせていただくようになったメディアの方々、MDCの活動にご支援、ご協力いただいている方々、スポーツ界では、応援、激励いただいている女子プロ野球の選手の皆様、相撲界の方々、ラガーマン、旧知の諸先輩・知人・友人の方々にこの場を借りてお礼申し上げます。
私は、周囲に対する感謝の気持ちを持つと共に、基本に裏づけされた個性と確固たる軸を持ち、それらをぶらさず、周囲に自分自身を発信しながら、協調性と思いやりを持つことが大切であると考えます。まだまだ発展途上であり、勉強することばかりですが、来年は勿論、生涯をかけて、一層、人間形成に精進致します。それが自分自身の音楽にも活きるものと確信しています。